PSPで発売された名作ゲーム「パタポン」がPS4で9月21日に発売されたという事で、パタポンについて書いてみます。

 

■パタポンとは

初代「パタポン」は2007年12月20日に発売されました。
新規IPなので当然まったくの無名、且つリズムアクションというあまりフィーチャーされたり大きな話題になるタイプのジャンルではないという事で、発売前からさほど注目されていたタイトルではないように記憶しています。
しかし、完成度の高いゲーム性と、独特なデザイン、キャラクター、世界観、ストーリーやセリフ回しがコアなファンを呼び込み、結果続編が3まで発売されるに至りました。
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■ゲーム性

○×△□の四つのボタンの組み合わせをリズムに合わせて押す事で、パタポン達に指示を送り操作するというリズムアクションゲームなのですが、これがかなり斬新でした。

まず最初の4拍子に合わせてボタン入力をすると、続く4拍子でパタポンがその入力内容に応じて行動、その繰り返しでゲームが進んでいきます。
最初の4拍子で□□□○と入力すると、続く4拍子で前に行進。
○○□○と入力すると、続く4拍子で敵に攻撃。
また△△□○で防御を固めたり、○□○□で大きく後ろに回避したりします。

このシステムが非常に考えられていて、操作していて気持ちいいんですよね。
純粋なアクションゲームのように、リアルタイムに操作して動かせるわけではないので、敵の行動を読むことが重要になります。
敵の攻撃の予備動作を察知して防御や回避コマンドを入力。
「事前入力」なので、敵の動きを読んで先行入力し、ドンピシャで敵の攻撃を回避した時なんかは他のゲームとは違った快感があります。

 

■独特な世界観、キャラクター

画面を見ても一目で分かるように、パタポンはグラフィックが独特です。
影絵のような背景やキャラクター。
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ゲームとしてちゃんと面白いというのは前提ですが、私がこのシリーズにハマったのは、この部分が大きいと思います。

特に、フランスのデザイナーであるRolito氏によってデザインされた、目玉に手足が生えたようなキャラクター。
このキャラクターが小気味のいい歌を合唱しながらワラワラと行進したり一斉に攻撃したりするのを見るだけで楽しいですし、謎言語と独特なセリフ回しが際立つイベントシーンもなんだかわからない魅力があります。

 

■しかしながら、荒削り

前述の通り、斬新な要素を多く取り入れつつも上手くまとめてあり「ゲーム性」としては初回作から非常に完成度が高かったパタポンですが、ゲーム全体としてはまだまだ荒削りな部分も多くありました。

例えば…

・キャラロスト

敵の攻撃を受けて体力がゼロになったパタポンは、その場に帽子を落として力尽きます。
その帽子を回収できれば、ステージ終了後に復活するのですが、回収できなければそのキャラクターはロストする事になります。
自由に操作できるシステムではないので、死に場所が悪いと帽子を回収する事ができずにロストしてしまう事が多々あります。
加えて、一部のボスに至っては食らっただけでロストという恐るべき攻撃を仕掛けてくるものもいます。
まあロストの可能性があるほうが緊張感があっていいという意見もあるとは思いますが、個人的にはこういうシステムはあまり気が休まらないので好きではありません。

・繰り返しプレイできるステージが無い

通常のステージは、一度クリアするともうプレイできません。
ボス戦は繰り返しプレイできるし、倒すごとにボスのレベルも上がっていくので、クリア後もやり込みは可能ですが、どうしてもたまにはボス戦以外もプレイしたくなりますね。
たくさんのパタポンでわらわら進んでいくのも、このゲームの大きな魅力ですし。

・フィーバーのシビアさ

リズムに正しく合わせてボタンを入力し続けると、フィーバーモードが発生し、ユニットの能力が上昇します。
ゲームの難易度もなかなか高いので、基本的にはほぼフィーバーモードを継続しながら進む事になると思いますが、このタイミングがかなりシビアで、少しでもズレると問答無用でフィーバーモードは終了します。
再びフィーバーモードを発生させるにはまた何度かジャスト入力を繰り返す必要があります。

 

■問題点を根こそぎ解決した正当進化「パタポン2」

パタポンの静かな人気を受けて、約一年後の2008年11月27日に続編「パタポン2 ドンチャカ」が発売されました。
このパタポン2は、パタポンシリーズの最高傑作となります。
(シリーズといっても3作しかありませんが)
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前作で評価されたゲーム性やシステムは悉く改善されました。
・キャラロストは無くなり、力尽きてもステージ終了後は復活するようになった
・ほとんどのステージを繰り返しプレイできるようになった
・難易度選択が実装され、イージーであればフィーバーモードの維持が簡単になる等の措置ができた

上記をはじめとする改善に加えて、ユニットの種別(職業のようなもの)の追加、ボリュームの増加、アドホックでの協力プレイの実装など追加要素もあり、理想的な正当進化といえる続編となりました。

 

■少し危険を感じた「ヒーロー」の実装

このようにほぼ完璧とも言える続編だった「パタポン2」ですが、個人的に少し気になった要素が一つだけありました。
それが「ヒーロー」の存在です。

ヒーローは、通常のユニットよりも大きくて仮面をつけている特殊なユニットです。
パーティーに1体だけ存在し、強力なステータスを持ち、付け替え可能なマスクによってこれまた強力な特殊能力を発揮できるユニットなので、時には一体で戦局を変えうる重要度の高いキャラです。

このシステム自体はそれほど評判が悪いわけではないですし、確かに従来の楽しみ方を変えるるに至るまでの変更ではありませんでしたが、個人的にはたくさんの小さいユニットがワラワラと行進したり攻撃したりする感じが好きだったので、こういうユニット1体の重要度や存在感を大きくする方向にシフトしていったら嫌だなあ、とは思っていました。

 

■そして全てを破壊した「パタポン3」

2011年4月28日に、続く「パタポン3」が発売。
パタポン2から少し間が開いたこともあり、私もかなり発売を楽しみに待っていた記憶があります。
当然発売と同時に購入して遊びました。
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最初こそ、再びパタポンの新作をプレイできているという喜びと、変わらない世界観、なんだかわからないけど惹かれるヒーローと悪役ヒーロー達のやり取りに楽しんでいたのですが、プレイしていくにつれ「あれ、今までと違うぞ」という部分が目に付き、そしてそれが悉く残念な方に傾いてしまっているという事に気付いてしまいます。

残念なポイントは山ほどあるんですが、特に気になった点だけをピックアップします。

1.ユニット数の減少

過去作では、パタポン6体(強力なタイプのキャラは3体)で1ユニットとし、×3ユニット(+ヒーロー1体)で自軍パーティーが形成されていました。
最大で19体ものパタポン達が陽気に歌いながら行進したり、一斉にワチャワチャと槍やら弓やらを投げる賑やかさはパタポンの大きな魅力だったのですが…
パタポン3はヒーロー+通常パタポン3体で自軍が構成されます。
…え、全部で4体?
パタポンの魅力を大きく削いだ悪魔の所業。

2.協力プレイ推し

発売当時はモンスターハンターバブルの絶頂期でした。
数ヶ月前の2010年12月に発売された「モンスターハンターP3」は国内470万本を越えるとんでもない販売実績を打ち立て、PSPの全ソフトにおいて売上げ1位、モンハンシリーズにおいても売上げ1位となりました。

それにより「狩りげー」というジャンルが完全に確立し、GOD EATERや討鬼伝といった優良なフォロワーコンテンツを生み出すに至ったのですが、それを受けてなのか、パタポンも「協力プレイ」に大きく舵を切ってきたわけです。

発売前からやけに協力プレイをプッシュしていたから、違和感は感じていたんですよね。
ただ、パタポン2の時点で協力プレイ自体は存在していたわけで、モンハンの超絶ヒットを受けてその要素を前面に押し出してコマースするのはまあナシではないか、と思っていたぐらいだったでしょうか。
ところが蓋を開けてみれば、オンラインでのみ入手できるポイントでのみ購入できるアイテムがあったり、ステージの難易度も極点でマルチプレイ前提のような感じだったりしました。

マルチプレイ自体が悪いわけではないし、モンハンをはじめとする協力プレイのゲームは私も好きでよくやっていますが、パタポンにそれは全く求めていませんでしたし、実際にやってみても「これは過去のパタポンで感じた楽しさではないな」と実感しました。

3.理不尽なギミック

最終的に私が、パタポン3をクリアせずに投げる決め手となったのがこれです。
中盤?か終盤に砦のようなステージがあり、確か階層?になっていて、通常は左から右に進むんですが右に突き当たると次の階層を右から左に進むような感じのステージだった記憶があります。
そこに上下するギロチンが上に上がっているタイミングで通り抜けなければならないっていうギミックがありました。
これを食らってしまうと一撃でダウンするので、なかなかに鬼畜なギミックです。
タイミングがなかなかにシビアなので、ギロチンが上がっている間に完全に通り抜けるためには、ギロチンゾーンに突入する前の開始位置も重要になってきますが、パタポンは自由に動けるゲームではないので、そんな細かい位置調整は不可能です。
なので、運に左右される部分も大きく、そのリスクもユニット一撃死と高い。

うーん…全く爽快感が無いし、難易度を上げるにしても、はなから不可能な微調整を運任せでさせられて失敗したら門前払いなギミックを実装するのは、さすがにこれはもうナシだな…と思ってしまい、再挑戦する事も無くそこでぱったりとやめてしまいました。

 

■シリーズの終焉と、一筋の希望

パタポン3は果たして世間の評判も非常に悪く、多くの批判の声が上がりました。
そして結果的に、それ以降、今に至るまでパタポンの続編が発売される事はありませんでした。
私としても3には見切りをつけましたが、2の正統路線で続編を出してくれればまた間違いなく買うのですが、残念です。

そんな中、シリーズ1作目「パタポン」が2017年9月21日にPS4リマスターされて発売されました。
前述の通り荒削りな部分も多いタイトルではありますが、そのシステムや雰囲気は十二分に完成されていて、これを機会に初めてパタポンに触れてみるというのには最適である事に間違いないですね。
ぜひ多くの人にダウンロードして欲しいなーと思います。
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そしてシリーズが終焉を迎えて6年が経つ今になってリマスター発売というのは、このリマスターの売れ方如何によっては続いて「パタポン2」も移植、更には新作「パタポン4」をPS4で、なんて事も、展開としては候補にあるのかもしれません。

ともかく、まずはリマスターされたパタポンをまた堪能したいと思います。