以前のATRで、FF15の体験版であるエピソードダスカのユーザーアンケート結果が発表されました。
日本、アメリカ、ヨーロッパ毎に別で集計され、結果が比較できるのだけど、この違いが顕著に現れていて非常に興味深いです。
田畑Dのアクティブ・タイム・レポート Page.5.0 FFXV:フィードバック速報スペシャル【高画質版】
 特にこの日本とアメリカの差異が非常に面白かった。
「なんとなく、そういう傾向あるよな~」って漠然と思ってた事が、客観的な数字となって現れてますよね。
例えば、日本人はゲームを選ぶ時にブランドを重要視します。2000年以降特に、新規IPが人気シリーズに成長する事が難しいなんて言われていましたが、それを象徴するように、今回のFFに興味を持った理由として「FFシリーズだから」という回答は、アメリカに比べて大きく伸びています。
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 で、いろいろ興味深い違いはあるんですけど、今回注目したいのは、「体験版を今後プレイしない」と答えた方の理由として「何をしていいかわからない」と答えた人の割合が、アメリカ1.6%、ヨーロッパ1.0%、日本は実に20.0%(!) なんですね。
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 これも、こうやって数値にしてみると「こんなに顕著に違うものなんだ」とびっくりしましたが、近年の特に自由度の高い、海外産のゲームにおいてはよく言われていた事です。
で、日本人は何故「何をしたらいいかわからない」となるのか。
私なりに考えてみました。
 そもそも、本当に真の意味で「何をしたらいいかわからない」のかっていうと、それは違うと思うんですよ。
ある程度洋ゲーをやっている人ならわかると思いますが、最近の洋ゲーは、むしろ親切です。
Falloutシリーズも、GTAシリーズも、ウィッチャー3もそうですが、常に、現在受けているクエストの次の目的地と方角がマップに表示されているんですから。
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「次何したらイベント進むのかわからない!迷った!」なんて事は、普通に考えてありえないワケです。
(もちろん私もあらゆるゲームをしているわけではないので、中にはそういうゲームもあるかもしれませんが)
 むしろ、次に進むべき道が分からないという意味では、一昔前の日本のRPGの方が、多く陥ったりします。
国産のRPGでは、上記のように次に進むべき方向やポイントを示しているものはそう多くありませんので、例えば久しぶりにゲームを起動した時に「あれ、次どこ行けばいいんだっけ…?」となる事があります。
 それを踏まえた上で、なぜ「洋ゲーは何したらいいか分からない」となるのか。
それは、日本人のコンプ癖が関係しているような気がします。
 日本人は、特に収集要素などが好きなのは、ポケモン以降、常に「収集」がテーマになっているゲームが途切れず出続け、需要がある事からもわかります。
通常のRPGにおいても、例えば、ゲーム内に存在するアイテムは全て揃えたいという人は少なくないでしょう。
また、アイテム図鑑やモンスター図鑑があると喜ぶ人は多いでしょうし、それをコンプリートしたいと思う人も多いでしょう。
まさに私もそうです。
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アイテムを取り逃したりして図鑑に穴が空くと、結構ゲンナリします。
そういうある種の潔癖症とも言えるようなコンプ癖は、イベントやシナリオにも言えるのではないか、という事です。
 洋ゲーとして「何したらいいか分からない」として挙がるタイトルは、だいたい自由度の高いFalloutだったり、そういうゲームですよね。
例としてFallout4は、ゲーム冒頭のイベントが終わればすぐに、マップのどこへでも行ける様になります。で、各地で色んな人が色んなクエストを与えてきます。
クエスト進行においても、非常に多彩な選択肢がバンバン出てきます。ドラクエの「はい いいえ」でその後の反応が少し変わるだけですぐに合流するなんて事はありません。
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時には選んだ選択肢によっては他のイベントが進行不能になる、なんてケースもあります。
これが、日本人の「イベントも端から順に見て、ゲームの全てを味わいたい」という思いと真っ向からぶつかってしまう。
 ドラクエの「はい いいえ」でも、両方選んで両方の反応見る人、いますよね。それをするのが不可能なシステムなんです(もちろん何週もやりこんだりすれば可能ですが)。
 つまり、膨大な選択肢を与えられたが為に、「全てを味わいたいけど何から手をつけたらいいか分からない」状態、と言えるんじゃないでしょうか。
 じゃあ、どうすればいいのか。
タイトルでは意識改革なんてたいそうな名前をつけてしまいましたが、単純な話です。
「このゲームは、そもそも端から全てを見尽くせるようなものじゃない」と理解すればいいだけです。
というか前提として、「ROMに入っているデータは全て味あわなきゃ元が取れない」と考えている場合が少なからずある気がします。
これはもはや、近年のゲームには当てはまりません。
近年のAAAゲームは、膨大な予算と時間をかけて世界の隅々まで緻密に作ります。
その中でストーリーに関係する部分は半分もあればいいところです。Fallout3や4に至っては2割とかじゃないでしょうか。
そのような膨大な情報量によって積み上げられた世界の中を、自分の好きなように取捨選択して生きる、それが正しいAAAタイトルの遊び方のような気がします。
 もしそうやってゲームをクリアして、まだ遊び足りなければ、まだ言ってない場所に足を運ぶもよし、再び最初からゲームをやり直して違う取捨選択によって世界に触れるもよし。あとは飽きるのが先か、本当にゲーム内のイベントを遊びつくすのが先か、といった感じですかね。
 一言で言えば、難しい事考えんでも、好きなとこ行って、好きな選択肢選んだら?って事です。
 最後に、折角なのでFF15の話をすると…
FF15はFalloutシリーズのように膨大な選択肢の中から選んで進んでいく類のゲームでは無いハズです。
マップはシームレスであらゆる場所に行けるし、寄り道もできるし、寄り道にはきちんと何かの発見やイベントがあるそうですが、進むべきイベントの本筋はキチっと一本に決められているという点に関しては従来のFFと同様。そういう意味では、いくらか日本人向けでもありますね。
 エピソードダスカのアンケートで、「何をしたらいいか分からない」と答えた人の中には、オープンワールドというだけで少し尻込みというか、オープンワールド自体にまだ慣れてない人もいたと思うんですよ。国産の完全なオープンワールドってほぼ無いですし。
 そういう意味では、FFという間口の広いタイトルでオープンワールドに触れて、そこから洋ゲーのような選択肢が横にブワーっと広がるタイプのゲームをやってみるというのも一つのルートかもしれないですね。