ちょっと前に、メタルギアソリッドの開発者である小島監督が「海外ではエンディングにお金をかけるのは無駄」という旨の発言をして話題になっておりました。
http://natalie.mu/comic/pp/seifuku_robinson/page/4
その理由として「ゲームを100人がプレイしたとすると、最後までたどり着く人って1人か2人」と仰っていますが、これはさすがに言いすぎだと、あえて言い切ります。
PS4のトロフィーなんかを見れば分かります。
例えば、小島監督の作品である「MGSV:TPP」ですが、最後のミッションをクリアした際に取得できるトロフィー「真実」ですが、2016年5月現在の時点でこのトロフィーの取得率は20.5%となっております。
要するに、100人中20人はエンディングを見ているわけです。
同様の方法で、他にもいくつか「エンディングを見た人の割合」を見てみます。
和ゲーと洋ゲーから、それぞれ有名どころをいくつかピックアップして調査してみました。
タイトル | クリア率(2016年5月時点) | |
---|---|---|
和ゲー | MGSV:TPP | 20.5% |
FINAL FANTASY 13 | 27.9% | |
ドラゴンクエストヒーローズ | 39.0% | |
GRAVITY DAZE | 29.5% | |
和ゲー | ウィッチャー3 | 26.5% |
Grand Theft Auto V(PS3) | 31.4% | |
Fallout4 | 26.3% | |
ウォッチ・ドッグス | 30.1% |
ご覧のように、総じて20%~40%のプレイヤーがエンディングを見ていますね。
「ゲームを100人がプレイしたとすると、最後までたどり着く人って1人か2人」というのは、明確に間違いである事が分かります。
とはいえ、確かに、オープニングはゲームをプレイした100人中100人がプレイするが、エンディングはその中の一部のプレイヤーしか見ない、という意味では、説得力が無いわけではありません。
実際、洋ゲーのエンディングはあっさりしているものが多いですしね。
Falloutシリーズなんかは特にあっさりでした。最近の和ゲーで言えば、「ダークソウル」シリーズなんかはエンディングが非常にあっさりですね。
(ダークソウルに関しては、エンディングトロフィーが3分岐しており正確なクリア率が分からなかった為、上記の表には入れていませんが)
逆に、オープニングに力を入れているゲームは非常に多いです。
アンチャーテッドをはじめとするリニアアクションでは、最初に迫力のあるシーンを持ってくる事が多いですし、ゴッド・オブ・ウォーシリーズも、だいたい序盤に巨大ボスとの戦いがありますよね。
やはり、海外では「ひき」よりも「つかみ」に力を入れている事は間違いないようです。
そうなると、気になるのはFF15がどうなるのかという事。
FF15は海外展開を前提に開発しております。海外での反応を意識して開発の方針を決定している節も確かに見られます。
(「海外ではRPGでオープンワールドじゃないとなんで?ってなる」といった田畑Dの発言や、車が日本式の左車線走行だった事に関しての海外からクレームによって、右車線に変更された事などからわかります。)
その流れで「エンディングにはあまり力を入れなくていい」というような事になったりするのでは!?
という心配をしてしまうかもしれません。
しかし、結論から言えば、その心配は無用でしょう。
海外のゲーム情報サイト「GAMESPOT」に、こんな記事がありました。
http://www.gamespot.com/articles/final-fantasy-15-director-hopes-ending-makes-you-c/1100-6435473/
当然ながら英語ですが、私の拙い英語力と、翻訳サイトを活用してなんとか読み取って抜粋すると…
・多くのプレイヤーをエンディングで泣かせたい。プレイヤーがゲームにかける多くの時間に見合うような、感動的なエンディングにしたい。
・FF7と同等の衝撃をFF15でゲーム業界に与えるのがもう一つの目標。
このように発言しており、明確に「エンディングで泣かせたい」と言っています。
それ以上に、私としては「プレイヤーがゲームにかける多くの時間に見合うような、感動的なエンディングにしたい」というのが一番安心できました。
この考え方は、冒頭の「ゲームを100人がプレイしたとすると、最後までたどり着く人は一部なので力を入れない」という考え方とはある意味真逆の考え方と言えるかもしれませんね。
ゲームをプレイした人のうち、最後までたどり着くのは約3割の人間。でも、その3割の人間が、一番このゲームに時間を費やしてくれたんですよね。だから、このゲームに一番時間を費やしてくれた人たちにこそ、それに報いるような感動的なエンディングを作りたい、と。
思えば、FFシリーズのエンディングはいつも感動できます。
FF7で緑化したミッドガルに時間の経過を感じ、FF8で陽気に釣りをするサイファー一行に平和を感じ、FF9のビビに涙して、FF10のユウナの演説は心に響きましたし、FF12の空賊デビューに自由を感じ、FF13のドッジとセラの帰還に安堵し…
普通に考えれば、ここで急に「海外の意見を取り入れ、今回のエンディングはあっさりにしました。」なんてのは許されませんよね。
ともかくFF15は、今回もRPGとして長く楽しませてくれそうですし、その長く費やした時間に報いるような、感動的なエンディングを見せてくれそうです。
期待しております。
これもまた監督の言葉で
「作家性のあるゲームでそれをやると怒られる」といったようなことも言っておりました、
FF15もその「作家性」のあるゲームだと思うのでエンディングをしっかり作りこんでもらいたいものですね。
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>タンサーさん
そうですね。小島監督に関しては、それを理解しているのであれば、MGSVTPPは納得のいくエンディングに仕上げてほしかったというのが本音ではありますが…ただ小島監督の置かれていた当時の状況を考えれば致し方ない部分もありますかね。
作家性というものがどういうものか判断するのが私にはなかなか難しいですが、和ゲーのRPGは比較的洋ゲーよりもストーリーも重視されるという傾向があるようには思いますね。エンディングまでしっかり見届けたいと思います。
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